ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第126章 彼と彼女が取り戻した日常
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遡る事3月02日
蜘蛛での活動が一段落し、昼間から読書に勤しんでいると着信音を響かせたスマホに"イルミ"の文字が浮かんだ
「…………何だ」
『クロロに頼みたい仕事があるんだけど』
電話口から聞こえた無機質な声
「んー……」
そんな事だろうとは思っていたが小説の続きが気になってパラパラとページを捲っていると
『結構急ぎなんだよね、ハルバガルって小国でパドキアから移動に3日……早急に頼みたい。依頼金はそのまま全額クロロの口座に入金したから。』
珍しく少し早口に言う男に疑問符が浮かぶ
「入金した?!……え、今の段階で入金されてんの?!」
仕事は仕事と割り切る男は金銭にもシビアだと付き合いの中で知っていた
故に前払い、しかも横流しの全額なんて事は前代未聞だった
『半信半疑なら口座確認出来るだろ。』
「…………あ、本当だ」
『小国を潰す仕事だから色々面倒だけど9割方は俺が片付けておくから手は煩わせ無い。勿論交通費も此方で負担する。』
「………いや……交通費とかはいいけど……何があったんだよ、らしくない」
電話口から響く激しい銃声に既に仕事中である事が解る
仕事に関して妥協の無い点だけは信頼のある男が仕事の始末を他者に易々と預けるとはとても思えなかった