ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第126章 彼と彼女が取り戻した日常
3月08日
長期出張から帰国した息子は報告書を片手に全てを把握している目を向けた
「任務完了。」
「……………あぁ」
隠す気配も無く放たれる殺意を見据える
「………お前の役目は何だ」
「ゾルディックを護り弟達を導く事……まぁ、それとこれとは話が別だけどね」
頑なな表情はまるで妻を見ている気分に成る
「………どうするつもりだ?」
「ウチとは一切関わらせない」
「………そうか……問題は無いんだな」
「無い。」
揺るがない意思を暗殺者の黒い瞳に映した息子に言う事は何も無かった
関わらせないと言う事は嫁に取る事も無いのだろう
しかしイルミ自身は其の身をゾルディックに暗躍させ、役目を負うならば現時点のゾルディック当主として何ひとつ損失は無い
しかし、親子として何か言葉を掛けるなら
「……母さんにはバレるなよ」
全く話を聞かず自己の意思を貫く所が酷似した二人がぶつかれば気苦労が絶えないだろうと溜め息を付けば
「…………うん。」
イルミは僅かに目を見開くと殺気を消し背中を向けて部屋を出て行った
刺し違える覚悟を見せた息子の成長を喜ばしく思う