ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第124章 近付いた心と隠された本当
普段常人には有り得ない程過酷な筋トレをしているであろう肉体の持ち主ヒソカさん
そんな人からしてみれば本当に何をしているか解らないだろう
私にしてみれば地味に過酷なのだが何等かの儀式や変な踊りくらいに見られていてもおかしくは無い
「ストレッチです!」
辛い呼吸の合間に野太く発した私だがヒソカさんは「ストレッチ?♦️」と尚も疑問符で小首を傾げた
こんなに汗を流している姿を前に何故疑問符が消えないのか………
もしかしたらくびれや太腿に効くっぽいこの創作ストレッチは全く意味を為していない…………?
私は途端に真剣な面持ちでヒソカさんを見た
気が付けば必死に30分程ストレッチをしていたが今の全ては無駄なのか………?
姿勢を正して真っ直ぐにヒソカさんを見詰め、そしてヒソカさんもまたそんな私を見ている
沈黙の中、棒立ちした私とダイニングテーブルに座っているヒソカさんが見詰め合う謎の時間
「えっと…………ダイエット効果を狙いました」
沈黙を破ったのは私だった
事実ダイエット効果を狙っているが肝心の効果が得られているかは謎である
にわかに不安に成った矢先
「どうして?♥️」
ヒソカさんはクスリと笑うと柔らかく言った
理由は彼に綺麗だと思って貰いたいから
しかし実際はその息にも達っさず
美味しいご飯を前にのうのうとお代わり等をしてしまっている貪欲な身体を戒める為
洋服なんかに変化は無いけれど変化が出てからでは遅いのだ
食べてしまったのだから動かなければと思った
「ヒソカさんの料理が美味し過ぎて太りそうなので………」
何故か尻すぼみに声が小さく成ったのは彼と似通った彫刻筋肉を前に少しだけ惨めな気分に成ったからだ
しかし致し方無い
彼等が神に愛されしスペシャル人間だとするなら私はその他大勢のモブなのだ
見苦しい悪あがきでもしていないと簡単に肉が付く……なんて思っていると
「もっと効率的なトレーニングがあるよ♥️」
ヒソカさんはニッコリ笑いながら私の傍に歩み寄った