ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第123章 湯煙とおとぎの世界
こんな場面で顔を会わせる事なんて想定していなかったけれど、気まずいにも程がある………ッ
程好い筈のお湯なのに額にはおびただしい汗が浮かび
水面に視線を落としたままそろそろと後ろに下がっていると
「良い湯加減だろ?沙夜子♥️」
ねっとりと癖のある声が私を呼んだ
馬鹿みたいに跳ねた肩
気まずさで心臓を口から吐きそうになりながらも硬直した身体
揺れ動く水面の波紋からヒソカさんが此方に近付いて来ている事が解った
(うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ来ないでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッ!!!ごめんなさいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!)
パニックである
裸を見てしまった罪悪感と同時に私の存在にいつから気付いていたのかと思えば焦る胸
そして焦りとは裏腹に着実に近付いた距離にヒソカさんはいた
「気持ち良いよね、温泉♥️」
チラリと様子を伺えばしっかりと湯に浸かった状態のヒソカさんは普段と変わらずニッコリ笑い
私は視線を游がせ回った挙げ句水面をガン見しながらぎこちなく頷いた
「どうしたの、今日は随分と無口だね♥️」
そろりそろりと後退る私
尚一定の距離を詰めるヒソカさん
背中に岩がぶつかって何故か追い詰められた気分に成った
……………………しかし………………ヒソカさんは全くの通常運転だ……………
もしかしたら私に気付いたのは私の後退りが始まった頃で私の裸は見られておらず
ヒソカさんの裸を目撃した事も認識していないのではないだろうか………
とすると酷く動揺している私の方が不審に見えてしまうけれど、それにしたって混浴は無いだろう