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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第123章 湯煙とおとぎの世界







この洞窟温泉の目玉はダイナミックに開いた天井穴から落ちる神秘的な滝にある

洞窟という場所柄か湯気がこもって視界を霞ませるので私の立ち位置からは全くその光景を眺める事が出来ていなかったのだ


足元を確かめながら水面を打つ水音を頼りにゆっくりと進む


徐々に深く成った水深は座ればきっと程好いだろう

この分だと滝を眺める絶景のポイントでゆっくりと温泉を楽しめそうだ

なんて胸が弾んだその時


私は脳が停止して立ち尽くした



天井の大きな穴が湯煙を吸い込んで視界を鮮明にさせ、惜しみ無く温泉の滝を落とすその中心にヒソカさんが立っていたのだ


何故?なんて疑問より先に目の前の光景に息を飲む


町へ出向く為にセットされた髪、特徴的な頬のペイント、大きな手には赤黒い液体が付着していて

其れが一体何なのかは口に出す迄も無く


悠々とした動作で付着した血液を洗い流す瞳は冷たさを湛え、スラリと高い鼻筋から続く妖艶な口元に普段の笑顔は無い


次いで流れる様に鮮やかな髪を濡らした湯に見えていた額はみるみる滴る前髪に隠れ、頬のペイントは色を薄くして消えて行き、まるで道化師から一人の男性へと変わって行く様に見えた


頭から滴った水は何も纏っていない恐ろしくバランスの取れた肉体を濡らす

キラキラと水を滴らせて弾く肌は白く、スラリと長い手足や立派な骨格には惜し気も無く割れた筋肉が付いていて、
どこを取っても逞しい筋骨そして全身から溢れんばかりの色香が無色な世界を染め行く様に漂い

其れと同時に遠く青を見上げた姿は最早この世のものとは思えなかった




芸術的な程の美的な姿に視線を奪われ立ち尽くした後に私は猫の様な俊敏さで湯に浸かり、じっと水面を見詰めた

私がヒソカさんを見ていた時間は数字にすればほんの数秒の出来事だが全身を巡るバクバクと煩い鼓動




私はここに来て漸くパニックに成っていた


……………………………全裸を見てしまった……………………



私も裸だ……………………………



しかも意図せず混浴している



脳内が絶望に染まって行く



このまま静かに退散すれば…………




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