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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第3章 彼を知る3ヶ月







彼が居なくなって3ヶ月の月日が経ち世間は春に浮かれる中


まだ私の世界に色は戻っていない


何処を見渡しても灰色の世界


あの日のまま止まった時計


世界は私を置き去りに動いていて仕事帰りに歩いていた道にはライトアップされた夜桜を目当てに沢山の人が行き交っていた


(…………そうか………ここ………)



気が付か無かったが、去年の今頃彼と訪れた公園の横を私は歩いていた

仕事帰りそのままの作業着姿の彼と花見をした公園だ

桜を見上げる彼の横顔は他の全てを霞ませる程に美しかった

鮮明に思い出す昨年の出来事にとぼとぼ歩いていた足が止まる


後ろを歩いていたカップルに邪魔だと言われたがそんな事はどうでも良くて


腕に掛かったハイボールの袋がカサリと音を立てる


振り返って公園に入ろうか


あの日の様に桜を眺めて同じベンチで酒を傾けようか…………



一瞬公園に向いた爪先は怯んで反対の方向へ向いて進んだ


あの日以上に綺麗な桜等無い


髪に付いた花弁をお揃いだと微笑んだ彼は居ないのだ


私が真っ直ぐに向かったのは実家だった



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