第122章 マリオネットの気持ち

男の子は決めた事を続けて大人になりました


大人になった男の子は背も高くなったし強くなりました

もうおじさんにも誰にも負けません


強くなった男の子はお仕事もしてお金持ちにもなりました

好きな食べ物も沢山食べて、暖かくてふかふかの大きなベッドで眠って
男の子は小さかった時に欲しかった物を全て手に入れました


ピカピカの車もラジコンも美味しいご飯も広くて綺麗なお家も、本当に全て




そして男の子は壊しました



欲しかった物を全部自分で無くしました

そうすれば悲しい思いをする事は無いのだと思っているからです




「男の子はどれだけ欲しい物を手に入れてもずっとずっと壊し続けて年を取りました」





男の子はおじいさんになりました


おじいさんになってふと辺りを見渡した時男の子は思いました



『何も無いや』



欲しい物を全部手に入れた筈なのに男の子の家には何も残っていませんでした


男の子は思いました



虚しいな



男の子は後悔しました

二度と悲しい思いをしない筈がとても悲しい気持ちになったからです


そんな時


『おーいおーい、こっちだよー！』


部屋の隅から男の子を呼ぶ声がきこえました

男の子が声を辿って見付けたのはすっかり忘れていた人形でした


その人形は昔々男の子が欲しかった人形で、壊れずにそこにありました



『やっと見付けてくれたね、ぼくはきみとずっと遊びたかったんだ！』