ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第122章 マリオネットの気持ち
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17:54
「ようこそマリオネット沙夜子劇場へ!!!」
「?♥️」
買い物袋を抱えたヒソカさんが帰宅すると同時に私は声を張った
ヒソカさんは突然の出来事に一瞬キョトンとした後に笑顔で席を引いて
「ずっと練習してたのかい?♥️」
「はい!」
「沙夜子は本当に可愛いね、……一体どんなお話を見せてくれるの?♥️」
切れ長の瞳から覗く黄金色が私の手元に落とされて色香を纏った指先が人形の鼻をツンと優しく弾いた
機嫌が良さそうに笑みを浮かべるヒソカさんに私が贈る物語
それは男の子のその後のお話し
おこがましいかもしれないけれど私がヒソカさんに伝えたい事を伝えようと思う
おしまいのその先が無いのなら勝手に作ってしまえば良いのだと、そう思ったのだ……
「ある日男の子の所によく知っているおじさんがやって来ました、そのおじさんはオモチャ屋さんの人でした」
私の言葉にヒソカさんの笑顔が一瞬固まって視線は男の子から私へと移される
真っ直ぐに合った視線
私は再び糸受けへと意識を向けた
『…………よくも盗んでくれたな』
男の子は必死に抵抗しましたが一向に敵いません
沢山沢山殴られて沢山沢山蹴られました
口一杯の鉄の味、息も出来ませんでした
男の子が動けなくなった頃おじさんは言いました
『こんなにぼろぼろにしやがって、売り物になりもしない』
おじさんはそう言うと男の子が集めたオモチャを全部壊してしまいました
男の子は泣きました
ピカピカのオモチャが全部無くなってしまったからではありませんでした
おじさんが壊した全部の中に男の子がもっと小さい時から大切にしていたオモチャがあったからでした
ずっとずっと遊んでいた大切な宝物はぐちゃぐちゃに潰されて無くなってしまったのです
男の子は思いました
「誰かに奪われるのはもう嫌だ………こんなに胸が苦しい思いをするくらいなら最初から自分で壊してしまおう……それは男の子がもう二度と悲しい思いをしない為に決めた事でした」