第122章 マリオネットの気持ち

「買い出しに行ってくるからお留守番よろしくね♥️」なんてウインクを残して島を出たヒソカさんを見送って、私は隠れ家の天井を見上げる


ぼんやり着いたダイニングチェア

テーブルには男の子を演じた人形が力無く転がっている


私はヒソカさんの見せてくれたお話しを思い出していた


おしまいを聞いた後に胸に広がった切なさ

最後に大切な物を自ら壊そうと決めた男の子はまるでヒソカさんの様に思えた

本当にヒソカさんの身に起きた出来事なのか、はたまた創作されたものなのかは解らないけれど

どちらにせよ酷く悲しい物語には違いなく私の心を痛く締め付けるものだった





…………男の子が大切な物を壊そうと決めたのは人に宝物を壊され、奪われてしまったから……


私がもしその男の子だとしたら目の前で崩れて行く宝物を前にきっと悲しくてやるせなくて沢山涙を流すだろう

裂けそうなくらいに胸は悲痛に叫ぶ


壊されてしまった物が何かは解らないけれど男の子の心が歪んでしまう程の悲しみを与えるのだから
私で言えば彼に貰った大切な指輪


そんな大切な物を目の前で壊されたまま続きの無い物語に私はぎゅっと胸が切なくて静かに人形を持ち上げた



多分その切なさがヒソカさんと被って見えてしまったから私はこんなに憂鬱な気分なのだろう



先程教えて貰った通りに指を動かせば、男の子はニッコリ笑ったままぎこちなく手を振った