• テキストサイズ

ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第122章 マリオネットの気持ち






3月09日




「………海辺のマリオネット劇場へようこそ、お嬢さん♥️」



妖艶な色を放ちながら妖しく口元を歪めたヒソカさんに拍手を贈る



私達は軽めの昼食を済ませた後に砂浜に出ていた

てっぺんより僅かに傾いた太陽

広い葉を付けた木陰からは白く広がる砂浜

何処までも透き通る海からは心地好いリズムで寄せる波の音が静かに響いている


ずっと室内に居ては気が滅入るだろうと私を外気の元に連れ出したヒソカさんは何処からともなく人形を取り出した


所謂操り人形を指すマリオネットの言葉通り、ヒソカさんが持っていたのは木製の糸受けの付いた操り人形だ

長い指がしなやかに動くと同時に命を吹き込まれた様に深く頭を下げた男の子の人形に拍手を送りながらもこれから何が始まるのかと私の胸は高鳴っていた



「昔々ある所に男の子がいました……何処にでもいる普通の男の子、だけど………♥️」


あまりにもリアルに動く人形とヒソカさんの静かな語り口に私は波の音すらも忘れてお話に見入った






何処にでもいる普通の男の子、だけど………男の子はとても貧乏でした

その日食べるのもやっとの貧しく過酷な生活

男の子はいつもお腹がペコペコでした


それでも男の子にはひとつとっても楽しみな事がありました


それはオモチャ屋さんへ行き、ピカピカの車や楽しそうなラジコンを眺める事でした


『ぼくもいつかあれで遊びたいな』


町を行けば男の子と同じ歳格好をした子供達は皆オモチャで遊んでいます


ピカピカの車、とても早く走るラジコン

どれも素敵に見えるけれど男の子が其れで遊ぶ事は出来ません


何度も通ったオモチャ屋さん

男の子はいつも眺めるだけ……


男の子は他の子供達がとても羨ましくて堪りません




『どうしたらぼくも遊べるのかな?』




/ 1349ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp