ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第121章 熱い唇と彼の姿
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彼女は荒い呼吸を繰り返しながらも深い眠りに落ちた
赤みを帯びた頬に手を添えれば高い体温が伝わる
「………沙夜子……♥️」
名を口にしても身動ぎひとつせずに眠り続ける姿はまるで眠り姫だ
他の熱と変わらず薬は有効なので町に出て薬を購入し、帰宅したが彼女は外出前と同じ姿で眠っていた
彼女が起きたら薬を……なんて思いながらもトランプでタワーを積み上げてどれだけ時間が経ったのか
不意に身動いだ気配に顔を上げれば彼女は苦しそうに呼吸を乱しながらも心底嬉しそうに笑った
「イル……ミ……さん……帰って来たんですか……」
「……………あぁ、ただいま♦️」
(……………熱クラゲで発症する熱は通常よりも高熱であり、時に成人した個体にも幻覚を見せる………だね……♠️)
皮肉な事に彼女はどうやらボクの事を愛しの王子様だと思っている様だ…………
トロンと潤んだ瞳にボクを映して手を伸ばした彼女の傍に座ると弱々しい手が服の裾を掴んだ
「………沙夜子、薬を飲まなきゃ♥️」
「お薬……」
「自分で飲めそうかい?♥️」
「……はい………」
背中に腕を回して彼女の上体を起こし、錠剤を一粒手渡したけれど彼女の唇に薬が入る事は無かった
遠の昔に落下した錠剤を緩やかな視線の先に探す彼女
どうやら自力で飲めそうに無い