ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第121章 熱い唇と彼の姿
3月07日
息苦しさに目を覚ませば天井がグラグラと歪んで見える
「…………っ………」
明らかに荒い呼吸と重たい身体
懸命に上体を起こして見れば酷い眩暈の先にヒソカさんの姿を捉えた
「大丈夫かい……?♠️」
笑顔の印象が強いヒソカさんが私にはあまり見せない真剣な眼差しを向けていて私は力無く首を振った
「42.0℃……酷い熱だよ、これでも飲んで♠️」
「……………42.0………」
差し出されたグラスを受け取ったその時
手に力が入らず取り零してベッドにシミを作ってしまった
「あ、ごめ……なさ……」
「……………♠️」
驚きの数字を聞きながらも寒気が背中を伝って酷く寒さを感じるのにグラスに触れた事で自覚した高温
そして呂律が巧く回らない事に戸惑いながらも溢してしまった水を拭わなければ……とベッドから片足を出した途端
「沙夜子少し良いかい♠️」
優しい手つきで肩を掴まれてゆるゆるとベッドに押し倒されてしまった
訳が解らずグラグラと揺れる視界でヒソカさんを見詰めれば、私に覆い被さったヒソカさんは私のパジャマを捲りお腹を露出させる
「…………なん…ですか……」
なんて辿々しく漏れる声
しかしヒソカさんは私のお腹を眺めると切れ長な瞳をすっと細めて私のパジャマを丁寧に元に戻した
随分とのろまな思考で私が抵抗を示すよりも先に距離を取ったヒソカさんはいつから其所にあるのか、傍にある椅子に腰掛けると
「原因は熱クラゲだね、刺された痕があるから間違い無いよ♠️」
真剣な声色で言った
「……熱……クラゲ………?」
聞き慣れない言葉に不安を抱きながら漏らした声にヒソカさんは柔らかい笑みを浮かべると
「刺される時に痛みは無いけど高熱を出させるクラゲだよ……大丈夫、高熱は1日で終わって明日には元通りだから♥️」
私を安心させる様に穏やかに教えてくれた
「………そっか………」
明日には元気に成れるなら普通に体調を崩すよりもマシに思う