ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第120章 コバルトブルーとガウンの姿
03月06日
眩しい朝日に目覚めると其所にヒソカさんは居なかった
ヒソカさんがこの家を不在にするのは食料の買い出しだと話していた事をぼんやり思い出しながら見遣った時計は早朝の6時を指していた
昨日は号泣した事で体力を消耗したので眠るのが早く、早朝にも関わらず珍しいくらいにスッキリとした目覚めだ
人目も気にせず欠伸を漏らしながらゆるゆると身体を起こして何気無く窓の外を覗き、私はその光景に見入ってしまった
思わず開け放った窓は視界を鮮明にする
朝焼けた空に昼間の青さは無く淡いコントラストを浮かばせ、生温い風が髪を揺らす
コバルトブルーの海は何処までも広く砂浜の白が優しい色味を見せる中
友人であるヒソカさんは海の中にいた
鍛え抜かれた肉体は何処を取っても完璧で、逞しい腕、背中、頼もしい胸板、美しく割れた腹筋、全てが芸術品だとすら思わせる
そんな素肌に朝日を浴びて水が弾ければ息を飲む光景を生み出すのだ
濡れて張り付く前髪をかき上げる仕草、そしてそこから覗いた横顔は普段見せる笑顔とは違う色を漂わせていた
伏し目がちな瞳は鋭さを含み、スラリと通った鼻筋は高く、緩く開かれた唇が犯罪的にセクシーで
普段一人で過ごしている時はあんな表情を見せるんだ………まるで別人だ……
なんてただただ見入っていると、不意に此方を向いたヒソカさんと目が合ってビクリと肩が跳ねた
別に疚しい事は何もしていない……けれど、じっと無言で眺めていたなんて不審者染みた自身の行動が後ろめたさを生んだのだ…………
軽く首を振り水気を払ったヒソカさんは再び私を視線に捉えながら砂浜に上がり此方に向かって来る
窓枠に付いた手がじんわり汗ばみ何か喋らなければと息を飲み込んだ時
「おはよう沙夜子、今朝は早起きだね♥️」
垂れた前髪を撫で付けながら先程とはまるで違う爽やかな笑顔を浮かべ
「見てないで沙夜子もおいでよ、気持ちイイよ♥️」
素敵なお誘いをしてくれた
朝の海………泳いだ事は無いけれどまっさらな1日の始まりに透き通る海を泳ぐのはさぞ気持ちが良いだろうと思う
それと単純に前々からこの美しいビーチで遊びたいと思っていた
ワクワクと弾む胸に頷きかけて俯いた
「………私水着持ってませんでした………」