ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第119章 ダイブとヒソカさん
私がどれだけ泣き続けたのかは解らない
かなり泣いたのは確かだが
徐々に冷静さを取り戻している今、私は非常に焦っていた
隠れ家迄運んでくれたヒソカさんは尚も泣き続ける私を連れてソファーに腰掛けた
私はお姫様抱っこされていたし、泣きじゃくりながら抱き付いていたので必然的にヒソカさんの上に座ったまま未だ首筋に顔を埋めている
…………………これは非常にまずい……………
状況を理解すれば途端に吹き出した嫌な汗
馬鹿みたいに泣いていたので気にならなかったけれど良い匂いだとか筋肉が凄いだとか意識すれば私の心臓は馬鹿みたいに速度を上げた
私は至って健全であり疚しい気持ちは微塵も無い
愛しているのはイルミさん一択だし好き過ぎて拝み倒せるレベルだ
しかし好意とは別に密着した身体というのは意識せざるを得ないのではないだろうか…………
なんて考えている内にぴったり止んだ涙
私は命の恩人から離れるタイミングを掴めずにいた
(…………どうする…………泣くだけ泣いて運んでもらった挙げ句ありがとうございました!でいきなり離れるのは違う気がする………どうする…………)
バクバクと高鳴る鼓動にトキメキは無く只焦りを滲ませる
今の感情を言葉にするなら気まずさと気恥ずかしさだろうか
しかしこのままでいる訳にも行かない…………
……………とりあえず首にしがみついていた手をゆっくりと離して見れば、ずっと私の背中を撫でてくれていたヒソカさんの動きが止まった
気まずさから顔を見ぬ様に俯きながらゆっくりと身体を離す
そしてそのタイミングで『だいぶ落ち着きました、すみません、ありがとうございました』と伝えれば違和感は無い筈だ
腕が完璧に離れ、預けていた上体に距離が出来たタイミングで口を開こうとしたその時