第119章 ダイブとヒソカさん

「えぇえ？！？！うわあぅお！！」



状況が理解出来ずに訳の解らない言葉を発しながらも徐々に近付いた距離


懸命に伸ばした手を大きな手が力強く握り締め
僅かな衝撃と共に逞しい腕にしっかりと抱かれて厚い胸板にぶつかり尚も落下する私達


ふわりと私を包んだヒソカさんの香りに顔を上げれば
ヒソカさんは妖艶な色を湛えて私に微笑んだ



「随分過激な遊びだね、お嬢さん♥️」



なんて笑うヒソカさんに力無く首を振りながら何故そんなにも余裕でいられるのか全く理解が出来なかった

私には笑う余裕も喋る余裕すらも無くて


だけどヒソカさんの温もりを感じて先程よりも大幅に気が弛んでいると感じた



…………だけど状況は変わらない


ヒソカさんが何故共に崖から飛び降りたのかは解らないけれど
ぎゅっと掴んだTシャツをクチャクチャにして涙が流れる


目前に迫る終わり



そんな時






「バンジーガム♥️」






そんな言葉と共にピタリと止まった浮遊感







………………助かった………………？








ぼんやり見上げた友人の笑顔を見届けた後に私はプツリと意識を手離した