ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第22章 奇術師と夜
ヒソカさんの宿泊しているというホテルは本当に目と鼻の先だった
………しかし………パドキアという国はアニメや漫画の印象よりもずっとお洒落だ
昨日居た街はもっと大きくて必然的に大きく立派な建物も多かったが今日やって来た街は昨日の街に比べれば少しカントリーな雰囲気が交ざり、あまり高い建物も見当たらない
そんな中5階建て最上階の部屋に連れられるがままにやって来た私は部屋の装飾品を見て回り窓から街並みを見下ろしてうっとりしていた
……温かく灯ったガス灯が可愛すぎる……なんて思っていると
近くにあったローテーブルにゴトリとグラスを置いた音がして振り返る
「素敵なホテルですね!もう全部可愛いです!」
「沙夜子の方が可愛いよ♥️」
直ぐ傍のソファーに腰掛けて長い脚を組んだヒソカさんは以前もこんな事を言って私をからかっていた事を思い出す
「…………話しって何でしたっけ」
クツクツ喉の奥で笑いながら然り気無くソファーのスペースを開けてくれたので隣に腰を下ろすと流れる様にアルコールの入ったグラスを手渡されて小さくお礼の言葉を落とす
「何故あのバーに?♥️」
鋭い視線とは裏腹に口元に張り付いた笑みを見上げて私はありのまま話した
先生に聞いてきた事、彼へと繋がる手掛かりがあると聞いた事
話しを静かに聞いていたヒソカさんはニッコリ笑うと真実を教えてくれた
「あのバーの二階は情報屋に成っていてボクやイルミみたいな裏社会の人間が出入りしてるんだよ。勿論何も知らずに飲食をしている客も沢山いるケド♦️」
「………マスターも勿論裏社会の住民だ。……………だから沙夜子ちゃんが探しているのがイルミだと知れたら直ぐに情報屋に情報が回る……………♣️」
視線をグラスに落としたまま語るヒソカさんの横顔を只見詰める