ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第119章 ダイブとヒソカさん
__________"
その後ヒソカさんの楽しいお話を聞いている内にすっかり自分の凡庸さ等忘れた私は笑いながら歩いていた
美形具合が月とすっぽんなのは今更だし気にしていたって仕方がない
爽やかな森の中友人とお喋りを弾ませながら探検するのは思いの外楽しいもので夢中に成っていると突然表れた大きな洞穴
「ほら、手を握って♥️」
なんて大きな掌を差し出すヒソカさんはどうやらこの洞窟の中に入ろうとしているらしい
森の中から表れた洞窟………
探検なんて言いながらピクニック気分だった私に唐突に訪れた本格的探検要素
………正直全然要らない………
けれどニッコリ笑うヒソカさんの手を取ったのは信頼からだった
何かあってもヒソカさんが居るなら大丈夫だろうという信頼と擽られる好奇心
ヒソカさんと手を繋ぐ事に少し抵抗はあったけれどぽっかり開いた洞窟の中は暗くすんなり歩けそうも無い
其れにヒソカさんのスキンシップが元々ボディータッチの多い傾向にあるのでいちいち気にしていては空気を壊してしまうし、紳士的に振る舞う友人を前に私が拒否するというのは過剰反応だと思った
一歩、また一歩と踏み出せば森のざわめきは遠退き、中から反響する大きな音に気が付く
暗がりの中先陣を切る友人は危な気無く歩みを進め私は其の背中を頼りに歩きながらも胸に不安感が生まれ始めた
無人島の洞窟なんて何かありそうでワクワクしながらも本能は恐怖心を煽る
音の正体が何なのか掴めずに気が付けばぎゅっと握り締めてしまっていた手
「怖がらなくて大丈夫だよ♥️」
其れに気付いたのか優しい声色が響いて私の緊張を和らげてくれる
「きっと沙夜子も気に入ると思うんだ♥️」
なんて此方をチラリと振り返ったヒソカさんの言葉から私に見せたい場所があると話していた事を思い出した
つまりヒソカさんはこの場所を知っていて、私に何かを見せようとしてくれている
未知数でも何でも無い洞窟なのだと理解した途端、身体から力が抜けて行くのが解った
何も出来ないくせに馬鹿みたいに警戒していた私だがヒソカさんのテリトリーなのだと知った途端に足取りは軽いものに早変わりする
必要以上にびびらなくても良いのだ