ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第119章 ダイブとヒソカさん
先程から然り気無く合わされた歩幅
根っこを跨ぐ際に後ろへグラついてポンと背中に当たった大きな手のひら
ヒソカさん程の長い脚ならずっと早く歩けるし
グラついたのだって本当に些細なものだったのにヒソカさんは私へ紳士的な配慮を払ってくれていると感じる
別に私にそこまで気を遣わなくても平気なのに、きっとヒソカさんは異性に対して別け隔て無く優しいのだろう
私は本当に素敵な友人に恵まれた……と染々思っていると
「それは良かった、沙夜子を楽しませられるならボクは何だって出来るよ♥️」
不意に頭上から降って来た言葉
彼よりも背の高い友人を見上げれば妖艶に唇が笑っていた
高い鼻筋、切れ長の妖しい瞳から覗く黄金色が真っ直ぐに私を捉え、其の艶かしい色に目の前がチカチカとした
………………………これがモテる男の持つスキル……………………っ
「……ヒソカさんってモテるでしょ」
圧巻の美形を前に当たり前な事を口走ってしまった私だが
「クックックッ……まぁね♥️」
なんてサラリと言ってしまえるのだから流石過ぎて感心してしまった
彼を見ていても馬鹿みたいに異性を惹き付けるだろうと度々思う
私は彼の魅力に溺れているので当然そう思うのだけれどヒソカさんは彼とはまた違った色を放ち、その魅力を遺憾無く見せる
本当はとても優しいのに無愛想な彼よりもダイレクトな分異性の惹き付け具合で言えば圧巻なのでは無いだろうか……
なんて他人事の様に考えながら私は私自身の魅力の無さに虚無感を覚えた
(…………イルミさんの……お、お嫁さんが私で……ヒソカさんの友達が私って………………)
「………ヒソカさんって何処から色気出してるんですか……ずるい。私に分けてくださいよ」
「………え、……うーん……沙夜子はそのままで十分素敵だよ?♦️」
「…………優しいですね」