ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第119章 ダイブとヒソカさん
03月05日
「足元、気を付けてね♥️」
「はい!」
青々しい森の中地面から出っ張った木の根っこを跨ぎ歩く
私達は島を散策していた
何も無い無人島、ぼんやりしていると彼を想い溜息ばかり漏らしてしまう私を見ていた友人は気分転換にと「島の中を探検しよう♥️」と誘ってくれたのだ
常夏の島は自然豊かだ
私には以前森で恐怖体験をした過去がありその道程は困難かと思われたが、ヒソカさんが言うには昆虫も比較的少ない生態系を持つ島らしく安心だそう……
其れでもやはり表情が強張る私に
「大丈夫だよ、ボクが守ってあげるから♥️」
ヒソカさんはニッコリ笑って手を引いた
なんでも紹介したい素敵な場所もあるそうで、其のついでにおやつに成るフルーツでも食べようなんて言われてしまえば断る理由も見付からなくて、気配り上手の友人の言葉に気が付けば頷いていた
カラフルで巨大な虫を想像し、怯えながら始めた探検だったが全てはヒソカさんの言葉通りだった
森に入ってから綺麗な蝶を時たま目にしても根源的に恐怖する様な虫は一度も見ていない
それどころか肌を照らす太陽を遮る大きな葉が柔らかく透き通り爽やかな風が抜ける小道は清々しさを感じさせる場所だった
時折道を阻む根っこ、ギザギザの形をした草はまさに探検の雰囲気を醸し出し、私は出発前とは打って変わり楽しい気持ちに成っていた
(ヒソカさんのお陰やなぁ……)
なんて心の中で感謝する
湧いて止む事の無い不安から一時的にでも抜け出し、楽しい時間を過ごせているのはヒソカさんのお陰だ
この心強い友人が居なかったなら私はどうなっていただろう……なんてチラリと隣を盗み見れば切れ長な瞳とばっちり視線が合った
途端に妖艶な笑みを浮かべるヒソカさんから足元に視線を落としながらも
そのまま黙っているのも変な気がして
「ほんまに虫少ないですね!涼しいし!……ヒソカさんのお陰で私は楽しいです、ありがとうございます!」
とりあえず今ヒソカさんに抱いていた感謝の気持ちを口にした