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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第118章 ブルーフラッシュ







寄せては返す波を見詰めて私達の間には心地好い無言が広がる


そんな中



「ほら沙夜子」




ヒソカさんの囁きに顔を上げて小さく息を吐いた




水平線に帯を引いて浮かび上がった中心は宝石が沈む様に真っ青に輝き

まるで指輪の様な形状を浮かべた淡くも強い光は夕陽の色とは異なる神秘的なコバルトブルーの光景を見せると言葉を発する間も無く透き通る海の彼方に消えた


本当に一瞬の光景だったが胸を打つ輝きに私は暫くそのままで海を見詰めていた


ブルーフラッシュ……言い伝えに残る神秘に満ちた現象


きっと沢山の人々を魅了する美しさを見せながら途端に消えてしまう儚さに胸がきゅっと切なくて感動にも似た高鳴りを感じる






………大好きな彼と見られたならどれだけ素敵だろう……


彼は恋愛成就なんて下らないと言いながらもきっと私に付き合ってくれる………


大きな彼の瞳は青に輝き、僅かに目を見開いた後に彼は『綺麗だったね』と睫毛を伏せる…………



…………隣に居るのが彼だったなら…………なんて




傍に座っている友人を見上げれば交わった視線



「綺麗だったね♥️」



ヒソカさんは彼と重なる様に真っ直ぐな言葉を投げ掛けた


サラリと鮮やかな色をした髪が落ちて切れ長の瞳に真剣味が宿ると私達を包んでいた雰囲気は途端に色を変える

何故か声が詰まって唇は緩く開いただけに止まり




「…………全て忘れてボクのものになってよ」




波音が止まって聞こえる程に静寂に響いた台詞


夕陽が沈み辺りに夜の気配が近付く砂浜で唐突に発せられた台詞は私を酷く戸惑わせるものだった





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