第117章 似顔絵から見える事

まじまじ眺めたスケッチブックの向こうで


「沙夜子ちゃんは随分ボクが可愛く見えてるんだね♥️」


と呟いたヒソカさんに苦笑いを浮かべる

ヒソカさんが描いた似顔絵に比べれば下手くそな私の絵が少し恥ずかしく成ったけれど


「………すみません、似てなくて」



「そんな事無いよ、嬉しい……ありがとう♥️」



ヒソカさんはきっと先程の私とお揃いの笑顔を浮かべて気持ちを伝えてくれた


………………友人とは本当に良いものだ


一時でもマイナスな思考を忘れて穏やかに笑い合える今があるのは他ならないヒソカさんのお陰で

私はヒソカさんと和解し、友人として向き合える今に感激していた




それからも二人でポツリポツリと雑談しながらお題の絵を描いて過ごす時間は本当に楽しいもので



「ヒソカさんって絵めっちゃ上手いですね……画家さんになれそう」


「そんなに誉められると照れちゃうな♥️」


「なんか凄い優しい絵描くんですね！」


「そうかな？………あの壁掛けの絵もボクが描いたんだよ♥️」


ヒソカさんが指差した壁掛けの絵はこの窓から見える悠美な海の………やはり優しい色をした絵だった


絵や文章にはその人の心が表れる………なんて何処かで聞いた事がある

イルミさんの書く綺麗な文字の様にヒソカさんの絵も内面を表しているのではないだろうか


あくまでも友人として私に接するヒソカさんは優しい人だ




「ヒソカさんは優しい人なんですね！！」


笑顔でヒソカさんに投げ掛けた言葉にヒソカさんは




「…………ボクが優しいのは特別な人にだけだよ♥️」



少し間を開いてから笑った