ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第117章 似顔絵から見える事
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色鉛筆と絵の具では手間が違っていて、その小さな差で描き上がりの時間には僅かなズレが生まれていた
始めてしまえば夢中に成って楽しかったスケッチ
ヒソカさんを凝視して描いた似顔絵は私の中では頑張った出来栄えに仕上がった
「ちょっと待って、あと少し♥️」
「はい!」
チラチラと此方に目線を送りながら筆を動かすヒソカさんをぼんやり眺めながら待つ事数分
「出来上がり♥️」
ヒソカさんはニッコリ笑うと筆を置いた
「じゃあお披露目ですね!」
ドキドキと弾む胸と共に互いのスケッチブックを差し出して私は思わず歓声を上げた
「………すご………上手ッ!!ていうかこれ私ですか?!」
スケッチブックには美しく笑みを湛える私がまるで光に包まれる様に描かれ、その背中には天使の羽根が生えている
「ボクから見た沙夜子ちゃんだよ♥️」なんてサラリと笑うヒソカさん
「いやいや………私こんな綺麗じゃ………「綺麗だよ」
謙遜の言葉は遮られて真っ直ぐ響いた声に唇を閉ざしてしまったのは
私自身を綺麗だと認めた訳では無くて単純に嬉しい言葉だったからで
お国柄と言うべきか世界柄、謙遜が美徳では無いのなら嬉しいという気持ちを素直に伝えるべきだと思っての事だった
私は謙遜の否定的な言葉を飲み込んで代わりにありがとうを伝えた
派手な出で立ちのヒソカさんが描いたとは思えない淡い色合いの絵具が乗っていてとても繊細な絵を心底意外に思った