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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第117章 似顔絵から見える事



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14:06



無人島での時間は私の杞憂を余所に穏やかに流れ


彼の無事を祈り、寂しさを感じる中でひとつ決めた事がある


ぼんやりしていると彼の事を考えてしまうのは仕方ないけれど、ヒソカさんと接している時に色々と考え込むのは辞める事に決めた



動機は至って単純


ヒソカさんは優しく人の心理に敏感な人なので私の杞憂に気付いてしまう

そして数秒前まで楽しそうに細めていた瞳が僅かに曇る様に感じるのだ


あくまでもその様な気がするというだけだが
今朝だってヒソカさんのジェントルマンなお世辞に私は生返事を返してしまった


この世界で唯一の友、そして二度私の命を救った恩人に対して生返事等………自分自身で何事だと思った


…………命の恩人………つまり………ヒソカさんが居なければ私は二度死んでいるのだ



そう考えると如何にヒソカさんが偉大かが見えてくる


そんな友人に対して上の空な態度で接するというのは人としてどうだろう


………駄目だろう。




結果、私は友人と真摯に向き合う決意を固めた


四六時中彼の事を考え最早教祖として彼を崇める私故に時たまぼんやりしてしまうかもしれないが意識するだけで幾分か現状は違って来る筈だ………





「沙夜子ちゃんの趣味はコミックとアニメだったよね♥️」


なんて、私個人の趣向を口にしたヒソカさんに笑顔で頷きながらも内心驚いていた

私が趣味趣向について話したのは此の世界にやって来て彼と再会する前夜

ヒソカさんにバーで出会った夜だった

其れも何気無い会話の中でさらりと流れた言葉だ

現に私は今ヒソカさんに問われる迄話した事すらも忘れていて、あの時だと思い出した今ですらもうっすらと記憶に残っている程度だった


其れをどうやらヒソカさんは覚えてくれていたらしい



「……じゃあ絵を描くのも好きかな?沖縄の栞にも描いてくれてたし♥️」


「あー懐かしいですね!!絵描くの好きですよ!」



懐かしい沖縄という地名迄飛び出して私の胸が穏やかに弾む中、ヒソカさんは大きなスケッチブックを差し出した



「一緒にお絵かきしようよ♥️」



「………はい!!!」



まさかお絵描きに誘われるとは思っていなかったけれど素敵な提案に響いた明るい声


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