ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第117章 似顔絵から見える事
3月03日
私とヒソカさんは勿論ながら別々の場所で眠っている
部屋はリビングとキッチン、寝室が一体と成った一室しか無いので必然的に同室だけどヒソカさんは私にベッドを譲り、大きな身体でソファーに眠ってくれている
ふわりと香る男性的な香りはヒソカさんという人を表す様に少し妖艶な香りで
そんな寝具に身を包み眠る夜は複雑な気分だ
普段私が眠っているベッドからは落ち着く様なドキドキする様な彼の香りがする筈なのに……なんて思えば寂しさを助長させ
更には彼とは違う異性の香りを間近に感じる事に抵抗感と後ろめたさを感じている
ヒソカさんは「ボクはわりと何処でも寝られるから♥️」と私にわざわざベッドを譲ってくれていて
私はソファーで良いと主張したのだが「あまりボクを困らせないで」と優しく紳士的な気遣いを見せてくれた
其れを思えば抵抗感を抱いているというだけでズキズキ痛む良心と彼へ募る罪悪感にも似た気持ち
そして複雑な気持ちを越えて迎えた朝の眩しさに緩く覚醒した意識で私は微睡みから瞼を押し上げた
………………良く寝た………
色々考えていても結局の所、私は毎晩爆睡しているのだから考えるだけ無駄かもしれない……
なんて考えながらモソモソと上体を起こして思い切り伸びをしたその時驚いて一瞬声が出なかった
「おはよう♥️」
「っ………!!!」
私の直ぐ隣、ベッド上に胡座をかいたヒソカさんがクスクスと笑っていたのだ
てっきりソファーにいるものだと思っていたのに気配無く視界の近距離に姿を捉えたものだから驚いてバクバクと跳ねる心臓
「お、おはようございます……」
なんて少し遅れて上吊った挨拶を漏らした私にヒソカさんは切れ長の目を細めた
「沙夜子ちゃんは本当に良く眠る子だね♥️」
「……まぁ………そうですね」
「リラックスしてくれているみたいで良かったよ♥️」
「はい、お陰様で」
柔らかい口調で紡がれる言葉に笑い掛ければ悠々と伸ばされた大きな手が私の寝癖に触れて、私は息を飲んだ
「今丁度朝ごはんが出来たから起こそうと思ってたんだ♥️」
何故ベッドに……なんて浮かんでいた小さな疑問を溶かす様に響いた言葉