ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第21章 見付けた鍵と夜の街
というか通っている車も何かしら教えてくれても良かったし
パン屋さんはパン屋さんでキツネグマと渡り合える程私を屈強だと思ったのだろうか…………
…………いや………しかし………本当に……生きてて良かった……………。
いつの間にかカウンターの席に再び座らされていた私は夜の山道を思い返して心底ゾッとしていた
人間ばかり警戒していたが動物だって元の世界とは違っていたりする………
キメラアントなんていう人間を食べる蟻が存在するくらいなのだから私が今バーのカウンターに座っている事自体が奇跡的に思えた
「…………生きてて良かったです」
ポツリと呟いた私にヒソカさんはニッコリ微笑むと
「本当だよぉ頬にも泥付けちゃって♥️」
なんて言いながら親指で私の頬を拭い始めたので私はどぎまぎしてしまい固まった視線の先のマスターに
「さっき話してた大好きな人?」
と聞かれて思い切り声を裏返しながら否定の言葉を張り上げた
「あんまり否定されると寂しいなぁ♦️」
全く寂しそうには聞こえない声色を隣に聞きながら私は追加のアルコールを頼んだ
「………ボクも付き合うよ♥️」
2つ並んだグラスをぶつけるとウインクをするヒソカさん
…………しかし不思議な感覚だ
私の隣に腰掛けたヒソカさんはこの異世界でたった三人しか存在しない私を知る人物
その事実だけで胸は安堵で溢れていて過去にどんな仕打ちを受けたかなんて事は今はどうだって良く成っていた
それにヒソカさんに頼めば直ぐにでも彼に会えると考えると嬉しくて仕方がなかった
過去に三人の中で一番信用ならないなんて思っていた事等私の優秀な頭脳には微塵も無くなって
只突然現れた懐かしい顔に胸を撫で下ろしていた