ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第115章 渦巻き始める時
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3月02日
パドキアを離れて3日間の移動を終え、仕事現場へ漸く到着した頃、俺は頭が真っ白に成っていた
特殊な仕事内容故に探知を避ける為到着まで通信の一切を禁止されていた
仕事を始める前に少しチェックする程度の軽い気持ちで開いたスマホに残された夥しい数の不在着信
動揺せずにいられなかった理由は彼女の宿泊するホテルの番号だったからだ
冷静さを失わぬ様に息を吐き出し残された留守番電話を再生する
俺から伝えている監視員からの連絡事項は全部で5つ
彼女の無断外出時、帰宅時
部屋への侵入者を確認した場合
彼女が何者かに連れ出された場合
ボディーガードが機動した場合
そして其れ等の中で最も起こってはならない事
彼女が何者かに殺害された場合
最悪の事態が脳裏に浮かんだが直ぐに掻き消した
全ては俺が彼女の元を離れた3日前に遡り残された留守番電話から聞こえる声に集中する
『不審人物が部屋に近付きボディーガードと交戦の末全員を殺害、奥様が連れ去られましたッ!繰り返します……!不審人物が……』
全身を絶望が襲った
自分が何処に立っているのか解らない
彼女が連れ去られる可能性は視野にあった
考えていた範囲内の事
暗殺現場では常に100通りの可能性が起こりうると思って生きている
そして其の100を凌駕する出来事が平然と起こる世界に立つ自身が絶望のまま立ち尽くす事は無かった
(……………考えろ……考えるんだ……)