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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第115章 渦巻き始める時






肉体のトレーニングは勿論だが仕事用のノートパソコンやスマホに届いた資料を入念に頭に入れる彼の姿を私は何度も見ていた

私が資料を見る事は勿論無いけれど、執事と通話中の会話から彼が記載されている情報について再度チェックを行っていると知った

時々錠剤を飲む彼の姿
決して私が触れない彼の私物鞄から取り出される其れは何と無く毒物なのだろうと思っている



死と隣り合わせの危険な仕事を重々理解しているからこそターゲットを軽んじたりしない


彼は気高さを湛えて命を摘み取るのだ


真夜中に部屋を後にした彼の背中を思い出し胸が切ない


「それじゃあ行ってくるよ。」と私の唇を奪った彼は振り返る事もせずに夜の闇へと消えた



凡庸で無力な私に手伝える事なんて何も無い


だからせめて唯一私に出来る事

心配を掛けぬ様に彼との約束を忠実に守り、少しでも気苦労を減らしたいと思っている



「さぁ、引きこもるぞ!」



なんて後ろ向きなのか前向きなのか解らない宣言をしながらも私は寂しさを紛らわせる様にテレビを付けた



(…………二週間かぁ………長いな)



今までに無い長期出張


本当は寂しいと言いたかったけれど彼を困らせたくなくて私は代りに「怪我しないで無事に帰って来てください」と言った


こっそりストックしている彼の置き手紙をそっと仕舞いながら祈るのはやはりその言葉そのままだった


「………早く帰って来やんかな……」



彼が出張に出てたかが7時間程で漏れた声はどこにも行かずに消えた




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