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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第115章 渦巻き始める時




2月27日



起きると彼はいなかった


チェストに残された置き手紙は相変わらず私の世界の文字だ


『出張で二週間程空けるけど約束はそのまま継続する。
潜伏するから頻繁には返せないけど何か変わりがあれば報告する事。
誰も部屋に招かず外出もしない事。
バルコニーの扉も開かず、外に出ない事。』



私よりも綺麗な文字で書かれた小さな手紙には律儀にも昨日話した内容が繰り返し綴られていた


昨日突然に二週間も会えないと知らされた私は寂しさと心配で一気に気分が落ちてしまった

泣いてはいないし駄々をこねた訳でも無い

ただ、目に見えて落ち込み、少し涙目だったと思う


そんな私に彼は只繰り返し注意喚起をして「出来るだけ早く戻る。」と言っただけ



私は優しい瞳の奥に冷酷な黒を覗かせた彼の表情を思い出していた


彼の中で仕事への姿勢は揺るぎ無く、いつ何時も彼は暗殺者だと感じる

必ず戻るなんて驕り高ぶった事は言わず"出来るだけ"と言う彼は達成出来ないリスクのある約束はしないのだ

私と過ごしていても平穏の端に彼の努力を垣間見る

とは言っても彼は努力を努力とも思わせない然り気無さでサラリとこなす



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