ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第114章 ダァさん
何時もの様にミックスナッツを片手にバルコニーへ出た私に向かって元気に鳴いたダァさんは私の目の前に降り立つと
まるで合図でもするように一鳴きして私の肩へと乗ったのだ
そして驚いた拍子に開いた腕へぴょんぴょんと移動したダァさんは満足気に鳴き声を響かせるとすんなりデッキへと降りた
…………正直私はかなりびびった
いきなり自分の肩にダァさんが乗るだなんて思ってもいなかったし
何よりダァさんのデカさにびびっていた
…………ダァさんの翼は私の両腕を伸ばした長さよりも大きかったのだ
まさか自分に向かって来るだなんて思っていなかったダァさんを間近で見た感想は凄い迫力。だった
森へと帰って行く後ろ姿とは訳が違う……………
しかしながら
びびっておいて何なのだが、私はその後ミックスナッツを食べるダァさんを見て心を強く打つ感激を覚えていた
ダァさんの行動はまるでペットの様で
その心に確かに感情を持っているのだと思わせる暖かさに溢れていた
ミックスナッツの人、では無く私という一人の人間に心許した瞬間だったのでは…………なんて………
素晴らしい感動話を前にスルーを決め込んでいる彼だが構わずに全てを話し終えた頃
「野鳥が腕に……汚くない?」
「…………」
彼は露骨に嫌そうな顔をした
…………何故私の話を聞いて一番にそういう事が言えるのだろう………
普通「凄い」とか「可愛い」が先で、彼みたいに少し几帳面で衛生面が気になったとしても後々に出てくる話題では無いだろうかと私は思う
しかも露骨な迄にしかめられた眉間にはシワが寄っていて、私は少しの切なさを胸に滲ませながらもほんの少しイラッとした
「コートは大丈夫です!それより凄いでしょ?!」
「……………。」
「私ムツゴ○ウさんみたいな能力持ってるかも!」
「誰それ」
「……えっと……………まぁ、そのダァさんがもうちょっとで来る時間です!イルミさんも見てください!」
「……わかったよ」
彼も見ればきっと驚く筈だ
………野鳥と人間の友情物語………
(……………そうや!イルミさんにもご飯渡しとこう!)
私はルンルンでミックスナッツを用意してその時を待った