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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第113章 チョコレートとチューリップ







ソファーから見える背中をチラリと盗み見て思う

彼はあれだけ見目麗しく完璧な迄に素敵な人で片や私は平凡な人物

彼が嫉妬したり独占欲を出したりしてくれるのは嬉しいし胸がキュンとするけれどそんなに心配せずとも私は彼に夢中だし

その逆で私に好意を寄せる奇特な人等早々いないと思っている


彼の心配性も困ったものだ、なんて思えば頬が緩んで可愛い人だと心底思う


感情に乏しいポーカーフェイス

何でもそつなくこなす彼はその実とても不器用で、しかし不器用に私に愛をくれる


花瓶に飾ったチューリップの花言葉を思い出してキュンと胸が鳴る


窓辺に飾れば差す太陽の光に赤い花弁が輝いてより一層美しく見えた



「イルミさん、ここに飾りますね!見てください!」



彼の気持ちを胸に抱き嬉しさから弾んだ声


しかし彼は返事はおろか振り返ろうともせず眠ってしまったのかとその背中を見詰めていると何やらゴソゴソしている事に気が付いた



「………イルミさん………?」



名を呼びながら彼に近付けば一瞬動きを止めた彼はゆっくりと振り返った




…………その手にトリュフチョコレートを持って



「イ………っそれはイルミさんのじゃないでしょ!!!」



足元に落ちた空の包装

彼の手にある其れはどうやら最後のひとつらしい


最早手遅れではあるが思わず戸惑い漏れた声




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