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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第112章 雨から雪に変わる時








自身の指先で薬指をなぞり確めながらもその手は震えていた




…………左手薬指の指輪…………



「イルミさん………あの………これ…………」



私はゆっくりと彼を振り返った


情けなく震える声に視界がみるみる霞んで行く


彼は左手の薬指に指輪を嵌める事の意味を理解しているのだろうか……なんて動揺のあまり過る思考


暫くの沈黙の後彼は悠長に唇を開いた



「色々考えた結果だよ、……本当は他に方法とかも考えてたんだけどまさかこんな事になるとはね。」



あっけらかんと話す彼を前にこらえきれずに溢れ出す涙


「………こんな"……っ……いつの間に……」


現実味も無いままに感極まる程押し寄せる幸福は身体を包み込んで次々に目から溢れ落ちて行く



「………あー………ヤってる時」


「………っそんなん"……聞いだ事……ないですよ………」



彼があまりにも単調に伝えた衝撃的な事実に笑い泣きした私は指輪を眺めたまましゃがみ込んでいた



彼は私との未来を望んでくれているという事実


彼は私を愛してくれているのだという実感



こんな幸せ………夢ではないだろうか………



そんな身を焦がす程の幸せに涙は止めどなく溢れて行く最中





「沙夜子の人生は俺が貰うから。」



不意に投げ掛けられた余りにも彼らしい乱暴なプロポーズの言葉






私達は法で結ばれる事は決して無くて

全てが曖昧で今以上を求めるなんて出来ないのだと何処かで思っていた


だけどそんな私の手を彼が取ってくれた


私達はこれから二人で人生を歩むのだ


病める時も健やかなる時も

漠然とした別れを前にしても


死が二人を別つ日まで…………




廃教会で彼と愛を確め合った朝

私は幸せの涙を流し




「よろしく"……お願いしま"す………」



涙声の返事に彼は余裕たっぷりに笑った







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