ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第112章 雨から雪に変わる時
その内頭が霧に霞んだ様にぼんやりして涙が頬を伝い彼の舌を敏感に感じてしまう様に成っていた
なぞる舌先にビクビクと跳ねる身体はまるで愛撫されている様に反応し
唇の端からはしたなく垂れる唾液を気に止める余地すら与えられずゾクゾクと身体を快感ばかりが支配した
漸く唇を離した彼はどちらとも解らず引く銀糸を酷く妖艶にペロリと舐め上げる
私は全身の力が抜けて立っている事すらままならず逞しい腕に支えられたまま彼を見詰めれば雄の瞳を向ける彼
短く荒い呼吸を繰り返しながら私は懸命に言葉を紡いだ
「………はぁっ……イル……ミさん、教会でこんな事……」
「沙夜子ここは廃墟だよ、……其れに神なんていない。」
開いた胸元に揺れる逆十字架
ドキドキと脈打つ心臓
逆十字架の意味を思い出し目眩がする程妖艶に口元を歪めた彼に本当に似合うと思った
(………神への反逆………)
彼は今まさに其の言葉に相応しいあまりにも淫靡で美しい悪魔の様に見えた
バサリとシーツの埃を払って床に広げた彼は私のコートを取り払うと容易く組み敷く
まるで有無を言わさぬ表情に逃げ場は無いと知る
………そもそも私は彼から逃げる気なんて初めから無かった
彼がどれだけ罪深い人であろうと神への反逆者であろうと共に地獄へ堕ちたいとすら思わせる甘い猛毒に犯されて
首筋にしっとりと唇を落とした彼を私は受け入れていた
背中に滑り込んだ手がジッパーを下ろし素肌に触れて淡く期待に揺れる身体
時折チクリと痛むキスは独占的な花を咲かせて
私は彼に身を委ねるままにショーツだけの姿と成っていた
私を見下ろしスーツを脱ぎ払う彼を前に熱い身体
バクバクと破裂しそうな胸は羞恥に騒ぐのに私は只彼の素肌を待っていた
素肌と素肌が触れあえば彼の愛を深く感じる
彼の唇が胸の先端を含んで弄び背中を走る快感に漏れ出す声
サラリと落ちる冷たい髪の感覚すらも愛撫と成って懸命に伸ばした手は彼の髪を乱した
彼の指が胸を弾き止む事の無い刺激にどれだけそうされていたのか
鬱陶しそうに髪をかき上げた彼は熱っぽい眼差しを私に向ける
「沙夜子」
"愛してる"とでも言う様に再び重なった唇