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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第112章 雨から雪に変わる時






ザアザアと降る雨の中ひとつの傘に寄り添う





………………何か悩み事でもあるのだろうか……………?


彼は色々な事を頭で考える人だと感じる

慎重な性格故に日々私の思考の追い付かない事迄考えているのだろう事は容易に想像出来た



正直彼が今何を考えているのか私には全く解らない……だけど………

私は彼の力に成れないだろうか



なんてポジティブに気持ちを保ちながらも本当は不安だった

もし無表情の裏で私の事を考えているのだとしたら一体何の事だろう

危ない稼業なのだから仕事の計画についてかもしれない、と言い聞かせながらも

私に時折向けられた真剣な眼差し、そして逸らされた視線に不安を抱かずにはいられなかった


漠然と迫る別れが脳裏に浮かび
もしかしたら彼はその前に私との別れを選ぶかもしれない……なんて思えば嫌に騒ぐ心臓

………一緒に居られるかもしれないと希望を繋いだ彼の計画が巧く行かないのかもしれない………


………私が異世界に何度でもやって来ようと即答で言える程本当は簡単な事では無い事は理解していて

私がいるだけで彼に負担を掛けている事も理解している


私は全く解りもしない彼の思考を想像して恐怖に震えていた


彼を失うのが怖い


漠然と胸に広がる恐怖に押し潰されてしまいそうに成る


やっと届いた想い、温かな時間を失うのが心底怖くて

確かめる様にぎゅっと彼の手を握った時彼は静かに立ち止まった


気が付けば俯いてばかりだった顔を上げて彼に視線を向ければ彼はぼんやり立ち尽くしたまま何処かを見ていた


私からは黒髪に隠れて伺え無い表情に勝手な想像が巡り泣き出してしまいそうに成る


雨粒が傘に弾かれる音が二人を包む中


彼は再び私の手を引いて歩き出した


「イルミさん…………?」


不安に震えた声は只白い跡を残して消える



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