ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第112章 雨から雪に変わる時
02月09日
21:34
広がるのは濡れた街
重たい色の雲が空を覆い、しとしとと雨を降らせて傘を鳴らす中、私は優れない天気とは真反対の表情を浮かべている
信号が赤に変わるのをもどかしく感じながらも、ガラスに反射した姿を鏡に見立てて自身の姿を念入りにチェックする
ゆるふわに巻いた髪は分け目を変えて雰囲気に違いを出し
普段よりもバッチリ決めたメイクに瞳が少し大きい気がする
服装はグレーを基調とした大人可愛いワンピース
彼が好みそうだと選んだボディーラインの強調されるものでセクシーさを演出
寒くて仕方が無いが今夜は生足で勝負だと素肌に磨きを掛けて少しヒールの高いブーティはコートとお揃いの黒で統一感を出した
…………完璧だ……………!
彼から届いたメールを何度読み返しただろうか
『今夜は外食にしよう
ドレスコードがあるから服装はワンピースでね』
私はまるで悠長に流れる時間の中彼から連絡を受けてホテルから飛び出した
どうやら彼は既にドレスコードの服装らしく帰宅途中雨に降られてしまい近くのビル迄迎えを頼まれたのだ
彼からのデートのお誘いに私の胸は踊り狂っている
………ドレスコード………ならば彼はきっとタキシードやスーツ姿だ
見ずとも素敵過ぎる……と想像だけで舞い上がりながらも青に変わった交差点を行く
「……………可愛いって思ってもらえるかな……」
なんて独り漏らしながら、今までに無い彼を迎えに行くというシチュエーションにドキドキと高鳴る胸は乙女そのもので
鬱陶しいとしか感じた事の無かった雨すらも私達のデートを盛り上げる演出の様にすら感じた
指定されたビルまであと少し