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ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編

第111章 思い出と曖昧な未来



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三人で囲む食卓には二人分よりも大盛の手料理が湯気を上げ

仕事を終えた二人は上品ながらガツガツと食事を進めて行く

私はそんな二人を眺めてちまちま食事を進めながらもご満悦で酒のグラスを傾けている

勿論二人のグラスにも注いだ白ワイン



「こっちの料理も作れるんだな……たいしたもんだ」


「最初は結構失敗しましたけど……ね、イルミさん」


「まぁね。」


「手料理食えるだけ良いよな~家庭の味ってやつ?」


「クロロさんモテるでしょ?彼女とかいてたら作ってくれると思いますけど」


「クロロは惚れても手に入れて暫くしたら飽きるから手料理食べる関係までもたないだろ。」


「………うわぁ……悪い男……」


「その内料理上手な女でも作ろうかな………」


「シェフでも雇えば。」


「……それ店の味じゃね?」



私の脳裏に懐かしい記憶が巡る



古びたアパートで開いた彼の誕生日パーティー

パーティーなのだからとクロロさんを呼んで部屋の飾り付けを頼んだ

クロロさんは美味しいお酒を持参し、私はご馳走を作った

彼は普段よりも穏やかな表情を浮かべていて

蝋燭に火を灯して目配せすればクロロさんは、よしきた、と部屋の明かりを消した

淡く揺れる蝋燭の炎に彼の少しあどけない表情が浮かんでいて

その日は二人共いつものギブアンドテイクを忘れておおらかに楽しんでいる様に見えた


あの日を忘れないで欲しいと選んだ平凡なショートケーキは三人では大き過ぎて………





「こういうの久しぶりだわ、あれぶりだ、お前の誕生日」


「………あぁ、そうかもね。」



私は今どんな顔をしているだろう


あの日と変わり無く穏やかな表情を浮かべる二人を前に私は泣きそうに成りながら笑った


………あの日を覚えているのは私だけではなかった




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