ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第111章 思い出と曖昧な未来
02月05日
帰宅した彼に抱き着いた途端
「おー俺にもハグしてくれる?」
彼の背後から男の声が響いて私のチキンハートは元より物理的に身体が跳ねた
バクバクと忙しない心臓の音
お化け屋敷なんかでワァ!と脅かされた様な感覚と似ている
しかしその声の正体は考えるより先に彼の後ろから姿を表した
「クロロさんでしたか……」
「久しぶり」
爽やかな笑顔に私の心臓は穏やかさを取り戻したのだが
「は?殺すよ。」なんて物騒な呟きを落とした彼を見上げれば不機嫌に寄った眉間のシワ、感情の読めない真っ黒な瞳はクロロさんを睨み付けていた
「冗談だろ、あの変態と一緒にするなよ」
「………。」
相変わらず私の熱い抱擁を軽く受け流す彼だがクロロさんの発言に不機嫌を露にした姿にキュンとする
独占欲や嫉妬心が強い人だと理解していてもこうして誰かに其れを向ける姿というのは新鮮に感じたのだ
私はそれだけ麗しい彼に愛されている……なんて思ってしまえば頬が緩んで止まらず
「相変わらずな感じだな」
「……まぁね。」
形ばかりの冗談ではあるものの先程迄私を取り合って争っていた二人はお揃いの不審者を見る様な視線を向けていた