ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第21章 見付けた鍵と夜の街
よく考えてみればバーなのだし営業は夜に成ってから
昼間に見付けていたって中へは入れない訳で
昼間歩いている親子連れよりも飲み歩いている酔っぱらいの方がバーには詳しい筈だ
なんてプラスに考えてみる事でなんとか気分を持ち直して道行く人に私は声を掛け続けた
「あの!すみません、ジャッカルってバー知りませんか?!」
「ジャッカル………?」
私の言葉に立ち止まったのは50代くらいの人の良さそうな男性だった
「……あぁ。一つ向こうの筋だよ」
「っ…………ありがとうございます!!!」
私の声は辺りに反響する程大きくておじさんを驚かせてしまった
………………あった……………!!!
…………この街にあった………!!
私の心は喜びに満ち溢れて
先程迄のろまだった足がまだこんなに素早く動く事に驚いた
リュックサックの重みも感じずに角を曲がって一つ奥の筋に入る
ネオンの看板が並ぶ中私は一文字も見逃すまいと目を皿の様にして店名を読み続けた
【ジャッカル】
突然表れた店名を何度も読み返す
「ジャッカル…………ジャッカル………ジャッカル………!!!!」
探し続けた店を目の前に私はまた涙を拭った
__________"
陽に焼けた木目の扉を開けばガランゴロンとレトロな鈴の音が鳴り背の高い髭のオジサンが暖かい笑顔で出迎えてくれた
「お嬢さん、何にする?」
なんてメニューを渡されて先生から頂いた餞別を思い出す
「…………じゃあ………これで……あとこれ!」
「はい」