ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第110章 デパートショッピング
バクバクとうるさい心臓
全てを見透かした様に意地悪な色が滲む瞳
「折角だから俺も飲もうかな。……ね、沙夜子?」
静かに漏らされた声は場違いな程酷く淫靡に耳に落ちて
全ては彼の意のままの確信的なイタズラだったのだと教える
私は彼の思うつぼにめくるめく素肌を想像し
彼はそんな邪な思考迄もが手に取る様に解っている様だった
「………か、勘弁してください」
熱くて仕方がない顔のまま精一杯絞り出した言葉に彼は妖艶な色を湛えたまま
「嫌だ。」
はっきりとした拒否を口にした
声が詰まって只見詰め合う
………まさか拒否されるとは思ってもみなかった
いつもみたいに嘘だよ、冗談だよと笑うのだと思っていた
だけど彼は飲む事をあえて告げて主張した
…………つまり先程私が想像していた事が現実に…………なんて考えれば更に熱を帯びる頬
「う………あ………私…………身体が持ちません……………」
尻すぼみに小さく漏らした声は羞恥に震えていた
そんな私を心なし楽しそうに眺めてふぅっと息を吐いた彼
「………まぁ、只の酒だよ。沙夜子の期待するような事にはならない、俺には効かないから。」
一層意地悪に口元を歪めると途端に纏う雰囲気は無機質に成り淡々とした口調で告げた
「~っ…………!!!!」
私は二段階に渡ってからかわれたのだとこの時ようやく気付き、羞恥のあまり狂いそうに成った
私に際どい説明をした後に購入、しかしそういう用途で使用するのでは無いと安心させてからの俺も飲む発言………
………そして私の脳内がピンク色に染まった頃に全ての種を明かした
巧妙で悪質だ…………
私に想像する猶予をたっぷりと与えた上で実は効果が無いだなんて………
散々からかった事で満足したのか「さ、行くよ」なんてクスリと笑った彼の背中を睨みながらも
私は脳内で繰り広げられた淫靡な妄想を必死でかき消したのだった