第108章 戯れのヒトコマ

01月23日



何気無くつけたままだったテレビから流れて来たのは恋人向けの番組で

恋愛が題材のインタビューや立証された説をカップルが本当に試すという様な内容だった

彼は片手でスマホを操っていて私はぼんやりと流れるテレビを見ている


画面に映るカップルは皆一様に仲睦まじく私達には無い空気感を感じる


と言うのもインタビューを受ける恋人達は互いのパワーバランスが一方に傾く事無く均等なのだ

其れに比べて私はどうだろう


………圧倒的に彼が強い


別に彼自身故意にそうしようとしている訳では無いだろうけど
私と彼を端から見たならばどう頑張ったって私が彼にメロメロで私の愛が重く見えると思う

彼はいつでもクールだし、私に対して辛辣な言葉を掛ける事も少なくない

そして私はやはり彼にメロメロだし彼の前では忠犬と化すのだ




…………彼は確かに私を愛してくれている

甘い言葉を囁いたりなんてしない彼だが

淡白で何事にも無関心な彼が傍にいる事を許し、行動を共にしてくれている時点で凄い偉業だ


しかしながら始めと変わらず保たれた一定の距離はテレビ画面の恋人達には無いものだった


ソファーで少し空間を開けて座っている私達

チラリと彼を盗み見れば、緩く落ちた左手は何の意識もされずにあるのにその指先からは色香が漂い

少し腕捲りされて見える腕は筋肉質でドキドキと胸を騒がせた


あの手に触れて良いだろうか………