ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第107章 暗闇お鍋のヒトコマ
勿論出汁まで頂くのだが傾けて喉を流れた味はまさに未知との遭遇
どろどろと得体の知れない何かが溶けているッ
更に、視覚を奪われる事で味覚や嗅覚が敏感に成り口の中がパニックだ
…………濃厚で油っぽいッ
一口噛った食べ物が一体何なのか吟味して魚介類である事が解った
「魚!魚ですね!」
「まずい…………何これふにゃふにゃの………芋………まさかスナック菓子じゃないよね。」
「ヴぉっ………肉やと思ったら違うんですけど……」
「…………キノコだ。」
「ヴああッ………!!グミや!まっず!!イルミさんの世界のグミって苦いんですか?!」
「は?グミなんて入れたの?頭おかしい…………不味…………エビの何かが入ってる。」
「…………ん………?何これ………ぐにゃぐにゃの何かです」
「肉だ……当たり。」
私達は各々騒ぎながら鍋を多分半分程食べた
正直食べられたものでは無いが全ての食材に当たる迄に随分と時間が掛かった
「何入れたんですか………?」
「……それはこっちの台詞だよ。」
一通り食べるといよいよ中身が気になってくる
未だ暗闇でグツグツと音を立てる鍋を前に口を開いたのは彼だった
「俺はトロ、フォアグラ、ミンク猿肉、フルーツ鯛の目玉、豚の脳ミソ。」
「………フォアグラって…………猿肉?!目玉?!脳ミソ?!」
「全て高級食材だよ。只鍋料理にはしないだけ。」
「…………脳ミソ…………」
「出汁に溶けたみたいだね。」
「………ヴぇぇぇぇぇッ」
「………汚いな。で、沙夜子は?」
「……はぁ……はぁっ………私はグミ、ポテトチップス、エビフライ、鯨肉、痺れキノコです」
「え………痺れキノコ?」
途端にパチンと部屋の照明を付けた彼
エメラルドグリーンの丸い何かとカラフルなグミに白茶色の出汁
明るさを取り戻したテーブルの上に広がる鍋は自分達が先程迄食べていたとはとても思えないおどろおどろしいものだった