ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第107章 暗闇お鍋のヒトコマ
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私の設けたルールはこうである
●ひとり5つの食材
●出汁は予め作っておく
●暗闇でも視界を確保出来る彼はアイマスクを着用する事
勿論食べ物以外を鍋に入れる事は禁止だ
このルールを設けていないと実はいたずらっ子な彼が何を鍋に入れるか解らないからである
スーパーを練り歩き30分後、無事に彼と合流しホテルへ戻った
それぞれ何を購入したかは秘密なので調理中は交代でベッドルーム待機
そして予め鍋の出汁を作り、私達は広々とした高級ホテルのリビングルームにて鍋を囲んでいた
辺りを包む暗闇に鍋の中は想像以上に見えず黒色だけが浮かぶ
非日常的なドキドキは好奇心に膨らんで
「さぁ、具材を入れて行きましょう!」
「うん。」
私は少し緊張しながらも具材を鍋へ投入した
「どんな鍋になりますかね!」
「酷いのが出来ると思うよ。」
隣の彼はアイマスクを着用しているが動作はスムーズなもので感心してしまう
更に暗転する前に見た彼のアイマスク姿は………………何と言うか…………とてもいけない事をしている気分にさせるものだった…………
普段から隙の無い彼だが印象的な瞳が隠れる事で何故か無防備に見えてドキドキと心臓が騒いだ
今ならキスしたりハグしたり、堂々と甘えたり出来そうだなんて思ったが静かに構えたスマホの気配に彼は素早い反応を見せて
「撮ったらスマホを破壊する。」
単調ながら強い拒否を表した
どうやらアイマスク姿は彼にとって恥ずかしいものなのかもしれない
全然無防備ではなかった
まぁ………今はそんな邪な思考は置いておき、グツグツ煮える鍋に集中する
出汁となんだか解らない具材が混ざりあって嗅いだ事の無い香りが立ち上ぼり、私達の間には沈黙ばかりが広がる
無言のまま鍋と向き合いどれだけの時間が経過したのか
「そろそろ良いんじゃない?」
彼の凛とした声を合図に私達はジャポンで購入していた箸を持ち上げた
妙な緊張が身体を走る
自分で言い出しておいて何だが黒しか見えない鍋
何が入っているか解らない鍋へ自ら手を伸ばすというのは中々に勇気のいる事だった
「いただきます」
「……いただきます。」