ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第106章 青と素顔とサイコパス
テントと言っても小ぢんまりとしたものでボールで的を狙うゲームが出来る様だ
四角い的の縦横どちらかの一列全てを倒せたら景品が貰えるとお姉さんから説明を受けて私が先行で挑戦する事に成った
「沙夜子は何を狙うの?♥️」
「あの熊です!」
棚に並んだ景品の中で一際大きなテディベアは真っ赤なリボンが可愛い
折角挑戦するのだから本気で集中し
「そぉい!」
乙女にあるまじき掛け声と共にボールを投げたのだが全部で6球あるボールは全て全力投球で彼方へ飛んだ
「………まぁこんなもんですね」
……そう言えば私は昔から球技が苦手だった……
無様なノーコンだったがやりきった顔で振り向けばヒソカさんはクツクツ声を殺して笑っていて少し恥ずかしく成った
「ほら!次ヒソカさんですよ!」
「はいはい♥️」
ボールの入ったかごを受け取って余裕綽々で投げた一球目は見事に的を抜いた
「おぉ!」
抜群のコントロールに拍手を送り見守る内次々と落ちる的
手元に2球残したままラスト1枚と向き合ったヒソカさんに真剣な眼差しを向けながら唾を飲み込んだ瞬間
最後の的は落ちて見事横一列全ての的は綺麗に無くなった
「凄い!流石ヒソカさん!!」
本人よりも歓喜して跳ねる私にニッコリ笑顔を向けたヒソカさんはお姉さんからテディベアを受け取ると私に差し出した
「はい、沙夜子ちゃんにプレゼントするよ♥️」
「……え………良いんですか……?」
「別にボク欲しい物無いし♥️」
「……ありがとうございます!」
真っ赤なリボンが揺れるテディベアをおずおず受け取れば
目線を合わせる様に屈み込んだヒソカさんの美しい瞳が間近に見えて圧巻の美形にドキリと心臓が跳ねた
………私は全く素直な人間だ
老若男女の視線を奪う程の美形が間近に迫ればやはりドキドキしてしまう
しかし確固たる彼への愛は揺らぎ無いので許して欲しい
なんて誰に向けるでも無く思いながらも
間近で合った目と目の先ヒソカさんは瞳を細めて言葉を紡いだ
「そろそろ帰ろうか、陽が暮れちゃう♥️」
「…………そうですね……」
妙に意識してしまい上吊った声を笑うヒソカさんの気配に俯きながらも私達は遊園地を後にして
楽しく談笑している内に本当にあっという間にホテルに到着していた