ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第21章 見付けた鍵と夜の街
下っているという事は折り返し地点だ!なんて意気揚々と歩いた私だが
下った先には壁の様な登り坂が待っていて膝から崩れ落ちそうになった
立ち尽くしている間にも滴る汗に気が遠く成る
「………クッソ…………アホみたいな道作りやがって………もっと山に穴開けてトンネル作れ!!!」
私は足元に転がっていた小石を蹴りながら悪態を付いた
暑さと淡い期待を裏切られた事でむかっ腹が立ったのだ
折り返し地点は一体何処なのか
「…………親方、また斜めなるで………全部道作った奴のせいやけどな!」
溢れる苛立ちをパワーに変えて私は足を進めた
その後も登っては下る登っては下るを繰り返し苛立ちを通り越して泣き出してしまいそうに成った
「…………何この山………永遠なん……?」
この山道が永遠に続くのでは無いかとすら錯覚する
しかしそんな馬鹿な事は無い
昨夜は暗くて気付かなかったが時折出る標識にはしっかりと街の名前が書いているし歩いて行けば必ず到着する
「…………あと………13㎞ってどれくらいよ…………」
車の免許も取っていないし馬鹿な私にはm単位くらいしか解らない
でも先程見た数字より小さく成っている………と言い聞かせながら懸命に歩いた
休憩もせずに歩き続けてどれくらいの時間が経ったのか
腕時計は潰れず動いていて指し示していたのは丁度おやつ時だった
私はやっとの思いで隣街に到着し霞む視界は喜びに涙を滲ませていた