ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第21章 見付けた鍵と夜の街
私はその後踞ったまま仮眠を取り朝を迎えた
眩しい朝日に照らされて伸びをすればバキバキと身体が音を経てた
硬いコンクリートで休んだ時間は3時間も無いくらいのもので足腰に怠さは残っているが気持ちは真っ直ぐ前を向いていた
立ち上がって望んだ景色は元気な緑に太陽光が反射して輝く森の姿
昨夜と同じ場所だとはとても思えない美しい風景に深呼吸する
汗をかいていたTシャツに土が付いていて払っても取れない汚れは私の身なりを酷く汚ならしい物にしていたが黄色いTシャツに短パンというワンパク坊主の様な軽装は動き易くてこの格好で正解だったと思う
脚にまとわり付くジャリを払う
昨夜から首に下げている蚊避けのお陰か虫刺されの痕の無い脚に勝ち誇った笑みを浮かべる
効果があるのか甚だ疑問だったが持って来ていて正解だった
「…………よし!出発!!!」
私は再び親方のケージをリュックに括り付けて山道を歩き出した
まだ朝だというのに汗はだらだら流れてTシャツを濡らす
腕時計も私の汗で水没するんじゃ無いかと思うくらいの勢いだ
着替えは一応持って来たが着替えるにしたって先程から隣を通り過ぎて行く車を考えれば公開生着替えなんてブッ飛んだ事は出来なくて
タオルでも持って来るんだったと後悔した
ポケットに詰めたハンドタオルは最早使い物には成らないし彼に再会する前にシャワーを浴びたい……なんて考える私はエチケットも忘れない立派な乙女だと思う
暑さを際立たせる様に鳴き出したセミの声を聞き世界は変われどセミの声は変わらないのだな……なんてぼんやり考えながらも気が付けば下り坂だという事に歩みは速度を上げた