ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第106章 青と素顔とサイコパス
彼女の弾んだ声に視線を向けた先、ずんぐりとしたピエロが彼女を振り返った
「ぎゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッ!!!!!!」
(………ちょっと、それはあんまりじゃない……?♣️)
体型から何迄自身とはかけ離れたピエロと自身を間違えるなんて失礼しちゃうけれど
彼女の大きな悲鳴に紛れて笑い声が漏れた
やはり見ていて飽きないおもしろい子だ
蛇みたいだとか不気味、なんて言われるボクの目を綺麗だなんて言うのはやはり彼女くらいのものだろう
震えながら懸命に走る彼女が心底間抜けで
「うぁぁあ"っ…………ヒソカざん……どこぉ…………!」
可愛らしさの欠片も無い叫び声を愛しいと思った
「迷子かい、お嬢さん♥️」
転びそうな彼女の腰を背後から抱き寄せて見下ろせば
「……っ……ヒゾカさん……何処にいてたんですかぁ」
彼女は安心し切った顔をしてポロポロと涙を流した
自身より幾分も小さな身体、少し力を込めれば容易く消えるか弱い命……いつでも力尽くで好きに出来る筈なのに
肝心の軽口や安い口説き文句は彼女の前では喉の奥から出て来やしない
「ほら、泣かないでボクは此所にいるよ♥️」
決定打に欠ける台詞は口説き文句にもなりはせず、彼女が向けたくしゃくしゃの笑みにもう一度ぎゅっと温もりを確かめた
………もっと早くに気付いていれば何かが変わっただろうか
何故君は彼のモノなのだろう