ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第105章 奇術師とのお出掛け
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ヒソカさんの苦手をひとつ知った私は少し縮まった距離に自然と足取りが軽く成った
ヒソカさんは笑顔の奥で絶対的に距離感を保っている様に思う
ある意味彼よりも真意が解らない人物
そんな人の苦手を知るというのはなんだか友人の特権の様に思った
「だけど乗れない事は無いし、付き合うから遠慮しないでね♥️」
なんて気遣いを忘れないヒソカさんに無理はダメです!と伝えて私達は昼食を取る事に成った
現金を持ち合わせていない私だが嫌味無くランチ代を支払ってくれ、寧ろ遠慮している事の方が悪いと思わせてくれる辺り本当に然り気無く関心してしまう
お礼を伝えて頭を下げる私に「それよりさ♥️」と話題をすり替え、席へと促す流れの自然さに気が付くと私は椅子に座っていた
「…………」
「どうしたの?♥️」
クツクツと喉の奥で笑うヒソカさんが顔を覗き込みセットされていない髪がサラリと動く様に慌てて背筋を伸ばす
切れ長の瞳から覗く色素の薄い茶金色の目が太陽にキラキラと輝いていて私はこの時初めてヒソカさんの瞳の色に気が付いた
軽食を販売しているワゴン車の周りに簡易的に設置されたテーブルは昼時らしく満員御礼だが
私はその賑やかな雑踏に負けない声量で言葉を発していた
「綺麗な目の色ですねぇー……!!」
「え……?♦️」
「カラコンですか?!」
「………自前だよ♥️」
私の表情が間抜けだったのかクスクス笑うヒソカさんに続けて賛美の言葉を掛ければ
「そんな事を言われたのは初めてだよ♥️」
なんて心底意外な台詞が返ってきた
「え!そうなんですか?!」
てっきりヒソカさんは褒められ慣れた人だと思っていた
外見は間違い無く美形だし雰囲気は妖し気で妖艶だ
何処にいても人の視線を奪う姿は常軌を逸する美しさがある
……そう言えば彼もその見目麗しい容姿を褒められた事が無いと言っていたし
この世界では安易に異性を褒める事は無いのかもしれない
「沙夜子ちゃんはおもしろい子だね♥️」
何が面白いのか私には全く解らないが笑い声を上げたヒソカさんは普段よりも砕けた笑顔を見せてくれた気がした