ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第105章 奇術師とのお出掛け
私とヒソカさんは友人だが実のところ余り互いを知らない
何が好きなのか、趣味は何なのか……沢山お喋りはするけれど私がヒソカさんの趣味嗜好について知る機会は無く
私は殆どヒソカさんの事を知らないでいる
窮屈そうに身動ぎしたヒソカさんが何を思ったのかは解らないけど実は狭い所が苦手だったりするのかと思うと微笑ましく思った
遊園地に来た事で今まで以上に友人の素顔が解るのかも知れないと思えば私はなんだか楽しく成っていた
この世界で唯一の友達
趣味嗜好を知る事は仲良く成る一歩だ
私達は友達なのだから……!!!
急降下してレールを滑走したジェットコースターが元の場所に戻るとヒソカさんは少しの間固まっていた
「ヒソカさん……?」
「ん、降りなきゃね♥️」
私の呼び掛けにニッコリ笑ったヒソカさんは私に手を差し伸べてくれて
躊躇しながらも握った手は力強く引かれポスンと逞しい胸にぶつかってしまったがヒソカさんは気に留める様子も無く手を離した
しかし何故だか胸が落ち着かないのは
ほんの一瞬ヒソカさんの指が私の指と絡んでぎゅっと大きな手に包まれたからだった
意図的で無ければ出来ない動きに思えるが本当に一瞬の些細な出来事で、わざわざ私にそんな事をする目的等皆無だ
何なら気のせいだったかも知れない
長い脚にジーンズは良く似合い、ブラウンのロングコートは派手な髪色にも似合う上質なもの
ただ佇んでいるだけで色香漂うヒソカさんは魅力的な人だと思う
………………モテる事は間違い無いと確信がある
故に………無意識で発動したモテスキルなのだろうか………
私は彼にフォーリンラブなので対象外だがきっと沢山の女性を魅了して来たに違い無い……
見上げれば妖艶な横顔は何を考えているのか解らない笑みを口元に浮かべていて
「ジェットコースターどうでした?」
私の声に此方を向いたヒソカさんは少し眉を下げると
「ボクは苦手かな♦️」
肩を竦めて言った