ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第105章 奇術師とのお出掛け
01月13日
「すみません!ちょっとだけ時間ください!」
カラフルなゲートをくぐり抜けて声を上げた私はスマホのメール作成画面を開いていた
【ヒソカさんとの外出先、移動遊園地。11時36分到着。お約束の通り日没時刻までには帰宅します。】
彼に送信する為の報告メール
勿論外出前にもヒソカさんと出掛ける旨は報告していて彼からは
【了解。快楽殺人鬼は信用するな。】
という気に食わない感を簡潔ながら全面に出した注意勧告が届いている
確かにヒソカさんは快楽殺人鬼なのだろうけど
……なのだろうけど、なんて薄ぼんやりしてしまうのはあくまでも私に対してのヒソカさんの振る舞いが友人に成った今、至って健全だからだ
漫画やアニメでのヒソカさんの姿は頭に留めているし前科もあったけれど
今、実際に接して感じる事を大切にして行きたいと私は思う
ヒソカさんは無条件で私の命を助けてくれた恩人だ
私の中であの出来事は考えたりする事よりも確かに感じる何かがあった
作成した文章を再三確認した後に送信完了を見届けて視線を上げればヒソカさんはニッコリ笑顔を浮かべた
「彼への報告は終わった?♥️」
「はい!すみません!」
「んーん、ほら行こう♥️」
私達は互いに笑みを浮かべて歩き始めた
………正直、遊園地にヒソカさんと二人で来る事に成るとは思っていなかった
私にはれっきとしたイルミ=ゾルディックというハイパー素敵な恋人がいて、友人とは言え異性と遊園地というのは複雑な気分だ
事前に知っていたなら行き先を変更していたが
「行き先は着いてからのお楽しみ♥️」
なんて毒気無い笑顔を浮かべたヒソカさんは到着してから
「実はずっと来たかったんだけど誰もボクとは来てくれないから♣️」
と何とも切ない台詞を呟いた
そんな言葉を聞いてしまってはカラフルなゲートを前に今更無理だとは言えず私は咄嗟に聞こえていないふりをしたのだった