ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第104章 通じ合う愛
先程から全身を駆け巡る鼓動が大きく音を鳴らす中再び見えた彼の端正な顔にクラクラと目眩がする
「ねぇ、良いよね。」
確認している様でいて止める気等微塵も無い言葉に否定の余地は無く静かに瞼を閉じる事だけが私の精一杯の意思表示だった
………彼は私に初めて男性的な欲望を全面に見せた様に思う
私の身体を壁際に追いやり顎を掬い上げた彼は再び唇を重ねる
彼の所作には余裕があり、最初と変わらず丁寧ながらその表情には切羽詰まった欲の色が滲んでいた
唇を割り入って絡む舌に翻弄されながら彼にしがみつく
口の端から漏れ出す吐息
全てを遮断する様に両の耳を彼の大きな手に塞がれて鼓膜に伝わる水音に肌が震える
歯茎から奥歯迄口内を彼の舌に掻き回されて貪られて行く
………息が苦しい………
私は力無く彼の胸元を叩いているのに彼にはまるで届いていなかった
彼の手に顔を固定され、呼吸の余地無く続く深い口付けに足元の力が抜けて行く
上顎や唇の裏、隅々迄彼の舌先が這い目の前がチカチカとして私は途端に膝から崩れ落ちた
「はぁっ………はぁはぁっ……」
荒い呼吸を繰り返す私の身体をしっかりと支える彼に只しがみつく
……かつてキスでこんなにも快楽を覚えた事があっただろうか
私の身体を包んだのは身体的快楽にも似た甘い痺れだった
広い玄関フロアではやけに私の呼吸が響いて心音が煩く感じて羞恥が浮かぶが
「沙夜子」
麻薬の様な声が私を色に染めて行く
普段の彼ならきっとこんな場所で求める事なんて無く、其れだけ今彼は愛欲に染まっているのだと思えば身体の中が甘く疼く感覚を覚えた
ちゅっちゅ、と首筋から音を立てるリップ音
しっとり濡れた唇が肌を滑る度に肩がビクビクと跳ね、同時に服の中に侵入した長い指先が焦れったく素肌を撫でてブラのレースをなぞられる
焦れったい時間の中で幾度と絡めた視線に羞恥が込み上げて顔を逸らした時
いとも容易くブラのホックを外し途端に取り払われる衣服