ここは彼の世界です【HUNTER×HUNTER】続編
第104章 通じ合う愛
01月09日
ガチャリと扉が開いた音に駆け寄る
「お帰りなさい!!!」
「ただいま。」
彼が帰って来た………!!!
凛とした立ち姿が美しい彼に思い切り抱き付けば彼は私を微動だにせず受け止めてくれる
ふわりと動く大好きな香りに包まれて逞しい胸元に頬を寄せ、彼が無事に私の待つ場所へ帰って来てくれた事に心から安堵する
私の大好きな瞬間だ
彼の無事を確認し、彼と共に過ごす事を許される最高に幸せな瞬間
しかし今日はいつもと何かが違っていた
普段なら私の熱い抱擁を軽く受け流す様に背中をポンポンと緩やかに叩く彼がぎゅっと私を包み込んでくれたのだ
途端に照れてしまい、薄く赤みを帯びる頬をそのままに顔を上げれば、サラリと頬を撫でる黒髪の先に想像とは違う眼差しを受けて固まってしまう
無機質で無感動、どこか冷ややかな印象を残す彼の瞳は何故かギラギラとしていて
私はその理由が理解出来ずに戸惑いが滲んだ
彼の表情の殆どは目元の変化にあると私は感じる
呆れていたり、冷めていたり、優し気だったり、鋭かったり、気を抜いていたり、楽しそうだったり
その殆どが目元の変化で理解出来る
「………沙夜子」
そしてもうひとつは声だ
間延びした声、真剣な声、眠た気な声、淡白な声、呆れ声、柔らかな声………
表情に乏しい彼の感情を読み解きたくて私は無意識の内に彼の視線や声色の変化に敏感に成っていたらしい
彼が発した私の名
そのあまりもの妖艶な響きに私は瞬きすらも忘れて彼を只見上げていた
熱を帯びた眼差し、そして悩ましい声が耳にこだまして私の思考を鈍らせる
「………イルミさん………?」
やっとの思いで紡いだ言葉に彼は私の唇を容易く塞いだ
瞬間にドキドキと騒ぎ始める鼓動
突然の事に驚きを隠せずに目を見開けば妖しく光る大きな瞳と目が合う
触れるだけのキスを数回繰り返した彼は再びその腕の中に私を閉じ込めると耳元に唇を寄せて
「ターゲットが中々強くてさ、興奮状態が治まって無いんだ。」
酷く淫靡な囁きを落とした